いま日本の各地を訪れると、多くの地方都市の中心部は“シャッター通り”となっており、東京近辺のような大都市圏においてすら、一部の地域ではそうした状況が生じるに至っています。
「商店街」はやがて消滅していくべき過去の遺物であり、すべて郊外ショッピングモールにとって代わられる存在なのでしょうか。活気や賑わいのある中心市街地といったものは、ノスタルジーにすぎないのでしょうか。

一方、以上のような認識とは逆の、新たな動きも見え始めています。
たとえば若い世代がカフェやコワーキングスペースなど「コミュニティの拠点」として商店街に関心を向けるケースや、“遠くのモールにクルマで買い物に行くのが難しい”高齢世代が、自然な形で商店街に足を向ける流れ。
また、完全に「道路と自動車」中心に作られてきた昭和・平成の日本の都市・地域像とは異なって、人がゆったりと時間をすごし、またそこで様々なコミュニケーションや創発が生まれる「コミュニティ空間」としての「ウォーカブル・シティ=歩いて楽しめるまち」を求める動きも各地で“百花繚乱”のように起こりつつあります。
同時に、シャッター通りといった言葉とはおよそ無縁な形で、賑わいを保ちながら地域に根ざして発展している商店街も数多く存在しており、また近年では、インバウンドの外国人を含めて、そうした日本の「Shotengai」とその独自の価値に関心を向ける動きも進んでいます。

本研究所は、こうした商店街のもつ新たな意味や価値に注目し、調査・交流・発信・コンサルティングといった機能を柱として、これからの時代における商店街ないし中心市街地のありようや再生に向けたステップについて、幅広い角度から吟味し提案していくことを目的としています。
またさらに、人口減少時代における地域再生あるいは地域経済の活性化、成熟社会の都市やコミュニティのあり方、これからの国土における集中と分散のデザイン、環境・福祉・経済のバランスのとれた「持続可能な福祉社会」の構想といった、より広範なテーマを視野に収めて活動を展開していきたいと考えています。

昨今、「ウェルビーイング」というテーマへの関心が高まっていますが、それは他でもなく「ウェルビーイングな都市・地域」のありようを探り、実現していく試みと重なります。
商店街に関するテーマは、まちづくりや都市・交通、地域経済や商業、コミュニティ、観光、文化、価値、公共政策等々、幅広い領域に横断的に関わるものであり、本研究所はこうした多様な分野の方々の交流のプラットフォームの一つとなることも目指しており、御関心を共有する皆様からの御連絡をお待ちしています。